『終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―』9話、恋と訴訟の渦が胸の奥で溶ける(感想)(ネタバレがあります)

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第9話は、鳥飼樹(草なぎ剛さん)の心が少しずつ膨らんで、真琴(中村ゆりさん)に向かってしまう切なさと、御厨ホールディングスへの訴訟という巨大な壁が同時に迫ってくる回。
遺品整理という優しい仕事の中で見える現実の痛みと、どうしようもない気持ちの温度差が、見ていて息の深さまで変えてくる。
触れられない距離を歩きながら、気持ちだけが前のめりになる感じ。
樹の言葉が胸に残って、静かに広がった。

「Heaven’s messenger」に流れる温度と、残されたメッセージ

樹(草なぎ剛さん)は亡き妻を思い出しながら息子と生きるシングルファーザー。
遺品整理会社「Heaven’s messenger」で仲間たちと家族の痕跡を拾い集めていく姿が、優しすぎて涙がにじむ瞬間もあった。
久米ゆずは(八木莉可子さん)は新人らしいまっすぐさで、矢作海斗(塩野瑛久さん)は10年の現場経験を背負った背中の重さが見える。
社長・磯部豊春(中村雅俊さん)の静かな覚悟も揺るぎなくて、14人目の自殺者の遺品整理から訴訟に踏み出す決断が、画面越しでも震える。
ひとつの遺品に時間と想いが染みていて、言葉よりも深く何かが伝わるのが印象的だった。

真琴(中村ゆりさん)の選択、その代償の大きさ

御厨ホールディングス次期社長の妻で絵本作家の真琴(中村ゆりさん)が下した決断が苦い。
14人目の自殺者の弟・小林陽翔(山時聡真さん)を提訴しようとしていると知り、夫・御厨利人(要潤さん)にやめてほしいと願う代わりに、樹とは会わないと決めてしまう。
理由を知らない樹には、突然の別れだけが突き刺さる。
泣きたいのに泣かせてもらえないみたいな沈黙が、表情よりも雄弁。
真琴の背中は綺麗で、でも痛かった。
愛があるのに届かないって、こんなに苦しいんだと思った。

訴訟の波に飲まれながら、想いだけがあふれる樹

磯部(中村雅俊さん)の代わりに樹(草なぎ剛さん)が訴訟の一員として動き始めることで、物語はさらに深みに落ちていく。
御厨ホールディングスがアップした真琴の読み聞かせ動画に樹の息子・陸(永瀬矢紘さん)が映り、それが原因で学校に行きにくくなる展開は胸がきしんだ。
動画削除を広報部長・御厨彩芽(月城かなとさん)に頼むため、樹と真琴は再び顔を合わせる。
距離を置こうとしても運命が糸みたいに絡まる。
触れたくなるのに触れられない、そのせめぎ合いが画面から溢れてきた。

「真琴さんの気持ちが知りたい」止められない言葉

ラストで樹(草なぎ剛さん)は、抑えていた想いを真琴へ投げかける。
「わかっています。あなたにはご主人がいる。でも、今は…真琴さんの気持ちが知りたい」
その一言が空気まで震わせた。
真琴は利人が樹を調べていると告げ、「迷惑をかけられない」と離れようとするけれど、樹は抱き寄せて「かまいません」と返す。
やっと触れたのに、未来はまだ霧の中。
苦しくて、あたたかくて、泣くか笑うか迷う心のまま終わった。

終幕に近づくほど複雑に絡む人間模様

海斗(塩野瑛久さん)がヘッドハンティングされた先は御厨鋼太郎(村上弘明さん)が買収した遺品整理会社。
そして絵本編集者・森山静音(国仲涼子さん)は磯部の長男の恋人で、利人とも繋がっていたと判明。
「復讐のため」と告げた静音の声が震えていて、その一言が物語の輪郭をさらに鋭くする。
真琴は御厨の側に立つしかないけど、心は別の方向へ引かれている。
離れたいのに離れられない、そんな二人の気持ちが静かに燃える回だった。

まとめ

第9話は、優しさと罪と愛がひとつに入り交じる回。
訴訟の重さが現実的で、樹(草なぎ剛さん)と真琴(中村ゆりさん)の気持ちはすれ違いながら近づく。
抱きしめた瞬間の温度が忘れられないまま、未来はまだどこにも定まらない。
幸せになってほしいと願うほど胸がぎゅっと縮む。
涙の跡に少しだけ光が残る回だった。
(ゆめのん)