公の場での告発――「私の夫と手を切ってください」
第5話は、莉沙(井桁弘恵)が勤める会社のイベント会場で、涼(豊田裕大)の妻・凪子(山崎紘菜)が突然現れ、大勢の前で莉沙に向かって「私の夫と手を切って!」と泣き崩れるシーンから始まります。
莉沙は「違います、誤解です」と否定しますが、凪子は「あなた、夫のことを誘ったでしょ?」「結局、涼としたいだけなんでしょ、セックス」と突きつけ、ジムでのふたりのやりとりやアザを見せた場面まで把握していたことを明かします。
この一連が「公の場所」で起こることで、莉沙は屈辱と混乱に包まれ、“逃れられない場”の恐怖を強く感じました。
裏で蠢く別の思惑――子どもが欲しい女の誘惑
その背後で、奏子(奈月セナ)が“子どもを持ちたい”という願いから、莉沙の夫・高久(落合モトキ)を誘惑し、こっそりシリンジ法で子どもを妊娠させようと画策しているというエピソードも描かれます。
この二重の“仕掛け”が、莉沙を追い込む構図を複雑にし、表の騒ぎだけでなく裏の戦いも同時に進展しているのが手に汗握るポイントでした。
良かったこと
暴露・対峙・逃れられない場面設定の衝撃
イベント会場という“公開の場”での衝撃展開が、視聴者の心拍数を一気に上げました。
凪子が大勢の前で宣言することで、莉沙の言い逃れが物理的に難しくなる演出は、非常にパワフルでした。
また、ジムでの“抱きつき”“アザ見せ”“写真撮らせてほしい”などのエピソードが、莉沙のマイペース気味の言動が“軽く見えてしまう”原因として積み重ねられており、凪子の告発がリアルに映りました。
二重の罠構造が物語に厚みを加えていた
表側の“夫との関係疑惑”だけでなく、裏側で“子どもを望む女による策略”という別レイヤーの動きがあることで、莉沙が追い込まれる構図に複数の圧がかかっています。
これにより物語が単なる“不倫暴露劇”ではなく、多方向の心理戦になっていた点が優れていたと思います.
気になった・もう少し欲しかった部分
莉沙の反撃の描写が未だ弱め
莉沙は否定し、混乱し、屈辱を受ける側として描かれていますが、「どう立て直すのか」「どう仕返しを考えるのか」といった“反撃の意志”や“戦略”がもう少し強く見えても良かったと感じました。
視聴者として「次、どう動く?」という期待が少し先延ばしになっている印象があります。
奏子の計画のリアリティが若干曖昧に感じた
「シリンジ法で妊娠させよう」という重めのエピソードですが、その実行過程やリスク・倫理的な問題に触れる描写がもう少し丁寧なら、物語の深度が増したでしょう。
現在は“策略として存在する”という印象が先行しており、観る側として少し距離を感じる部分がありました。
感想まとめ
第5話は、タイトル通り「そこから先は地獄」への入口が爆発的に開いたような回でした。
表の告発・対峙シーンの衝撃と、裏の策略・陰謀の動きが同時に描かれ、莉沙が抱える“安全な人生”という幻想が音を立てて崩れていきます。
特に印象に残ったのは、凪子という“被害者然として振る舞う者”がじつは緻密に動いている点、そして莉沙が“疑われる立場”に立たされたとたん急に立て直しがきかなくなる構図です。
誰が正義で、誰が悪かという単純な図式ではなく、それぞれが“何かを護ろうとする”中で歪んでいく様が痛々しいです。
今後への期待と考察
次回以降、私が注目したいのは次の点です:
– 莉沙がこの告発をどう受け止め、どう行動を変えるか。彼女の“反撃”あるいは“崩壊”が見ものです。
– 凪子が何を本当に守ろうとしているのか。夫・涼との関係の実態、そして彼女の“演出”の裏側。
– 奏子の妊娠計画がどのように進展するか、そしてその発覚がどんな引き金になるか。倫理・人間関係・社会的制裁という観点からも興味深いです。
– そして、“家族” “不倫” “策略”というテーマが、この先どこまで深く掘られるか。表だけでなく、根底にある「欲望」「後悔」「弱さ」が暴かれていくことを期待しています。
この第5話は、「地獄」に落ちるための一歩を踏み出した、非常に転換点となる回でした。次回も、その重みと崩れゆく関係性を見逃せません。
(あいちゃん)

