すべての恋が終わるとしても 第3話 感想文(ネタバレあります)― 出会えて “よかった” と “よくなかった” の境界で揺れる恋と決断

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“出会い”がもたらした甘く切ない衝撃

第3話では、葵わかな演じる羽沢由宇と神尾楓珠演じる大崎真央の別れから3年――その裏で動いていたもう一つの出会い、白洲迅演じる野北駿太郎と市川由衣演じる宮内郁子の関係が本格的に描かれました。
“何にも執着しない”野北と、“自分の道を貫く”郁子、正反対のタイプが出会った瞬間から、物語に新たな層が加わったように感じます。

良かったこと

複数の恋模様が同時進行し、群像劇としての深みが増した

この回では、由宇と真央という“主軸カップル”の物語だけでなく、野北と郁子という別の“歪んだ出会い”が同時に描かれています。
この構成が、視聴者に「恋」というテーマの多面性を改めて突きつけていて、ただ “ひとつの恋愛” を描くだけではない豊かさを感じました。

由宇の決意と、真央の過去に刻まれた時間

由宇が「先に進む」ことをようやく決断するシーンには、3年間止まったままだった時間の重みを感じました。
真央との関係にケリをつけ、プロジェクトでの仕事仲間としてのコミュニケーションが少しずつ取れるようになるという描写が、彼女の成長や変化を丁寧に表していたと思います。

気になった・もう少しほしかったこと

野北と郁子の心理描写がもう少し深ければ…

野北が郁子に惹かれていくプロセス、郁子の“ふらりと現れては去る”行動の裏にある背景などが提示されてはいるものの、視聴者としてはもう少しその心理や状況の掘り下げを欲しかったです。
例えば、「なぜ郁子は約束を持たずに距離を保つのか」「野北が“出会えてよかった/出会わなければよかった”と感じるまでに至った心のゆらぎ」について、もう少し“見せ場”があれば、感情移入がさらに高まったと思います。

由宇と真央の過去の断片がやや多く、少し消化不良気味

由宇と真央の過去に関する情報(遠距離恋愛、手帳、おそろいの物など)が豊富に提示される一方で、それらを視聴者が整理する余地が少なく、「確かに意味深だけど、今どう影響しているのか」がすぐには掴みにくい瞬間がありました。
物語の“重さ”を出すことには成功していたものの、もう少し過去と現在のリンクが明確に示されていれば、よりスムーズだったと思います。

感想まとめ

第3話は、恋愛ドラマとしての“再出発”と“未練”が交錯する、重要な回だったと感じました。
由宇は「もう前へ進む」と決め、真央との距離を変えようとする。
一方で、野北は郁子という存在によって、「出会いの痛み」と「出会いの歓び」の両方を同時に抱え始めています。
恋が終わるとしても、その“終わり方”が決して単純ではない――そのことを改めて突きつけられた回でした。

特に印象的だったのは、手帳という“交換物”を通して過去を思い出す真央のシーン。
小さな物が持つ記憶の重みを、このドラマが大切に扱っているなと感じました。
それは「関係そのもの」を超えて、「記憶」「選択」「時間」を描くドラマの証だと思います。

次回への期待と考察

次回以降で注目したいのは、野北と郁子の関係がどこまで進展するか、あるいはどこで止まるか。
そして、由宇が“先へ進む”道のりがスムーズにはいかないことが予感されるので、どんな葛藤が再び出てくるのか。
さらに真央が抱える過去の“別れ”や“病”の影響が、どう現在の彼らに響いてくるのか――その辺りがキーポイントでしょう。

このドラマは「ひとつの恋がどう始まり、どう終わるか」だけでなく、「出会いと別れが交差する瞬間」「誰かとの関わりが人生をどう動かすか」を深く描いていると思います。
第3話は、その“交差点”であり、公私・過去・現在・未来が混ざり合った、まさに転換期の回でした。
(あいちゃん)

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