揺れる距離感と、すれ違いのはじまり
第6話を観てまず心に残ったのは、すみれ(久保乃々花)が「もう以前のような“フリ”には戻れない」と自覚する瞬間です。挑発的な態度で一夜を共にした翌朝、会社の同僚と楽しそうに話す橘(柊太朗)を見て、彼女は初めての“嫉妬”を感じてしまいます。
その気持ちが苦しくなって、「本当の恋人になりたい」という思いに向き合うために、すみれはお泊まり用のパジャマを衝動買い。友人にも相談し、ついに橘をデートに誘うことを決意します。
この回は、既に関係を持った2人が“ただの関係”から“本気の想い”に変わっていく“境界線”を描いた物語でした。
良かったこと
嫉妬という未経験の感情のリアルな描写
すみれにとって、橘との関係が“遊び”であったはずなのに、彼の一挙一動に心が揺れる――その変化が非常に丁寧に描かれていました。
「同僚と楽しそうに話している橘」という何気ない場面が引き金となり、彼女の胸中で“自分が大切じゃないのかもしれない”という不安が芽生えます。これまで男性に縁がなく、恋愛経験も少なかったすみれだからこそ、嫉妬という感情の重みがリアルに伝わってきました。
決意にまで至るプロセスの丁寧さ
すみれが“恋人になりたい”と思ったきっかけが、突然ではなく「嫉妬」「不安」「想い」という階段を少しずつ上っているように見えた点も良かったです。
パジャマを買うという具体的な行動、そして友人に相談してからデート誘いを決めるという流れに、彼女の自分自身を変えようという意志が感じられました。視聴者としても、「この恋をどう動かそうか」というすみれの葛藤に寄り添えました。
気になった・もう少し欲しかった部分
橘の視点がもう少し見えていれば
すみれの内面はよく伝わるものの、橘が“同僚と話す姿”を見たすみれが嫉妬する場面に対して、橘側の受け取り方や反応がもう少し描かれていたら、その場面のインパクトがさらに増したと感じました。例えば、「彼はすみれをどう思っているのか」「彼のなかにすみれへの変化があるのか」という補足があれば、物語により厚みが出たと思います。
デートの誘いに至るまでの葛藤にもう少し時間を割ってほしかった
すみれがデートを誘う決意を固めるまでの過程は描かれていましたが、その“躊躇”や“怖れ”にもう少しだけスローモーションのような余裕があれば、視聴者として彼女の心の動きにより深く共感できたかもしれません。
感想まとめ
第6話は、「関係が変わるきっかけ」と「恋が本気になる瞬間」が重なった回だったと思います。
すみれの嫉妬、自分への問いかけ、そして恋人になりたいという決意――これらが静かに、しかし確実に動き出しました。
一方で、“プレイ”としての関係が“本気”に変わるその狭間にある不安や焦りも、痛いほどに伝わってきました。
恋愛ドラマとしてだけでなく、自分を変える勇気を持つ人の物語としても、とても心を揺さぶられました。
今後への期待と考察
これから特に注目したいのは、以下の点です:
– すみれが橘を“恋人”として誘うデートが今後どのようなものになるか。彼女の想いはどこまで通じるのか。
– 橘がその誘いをどう受け止めるか。彼にとってすみれはどういう存在なのか、彼自身が認めるまでのプロセスに注目です。
– 嫉妬が生まったあの場面以降、すみれの心がどう揺れ動くか。嫉妬を契機にして、彼女自身が変化していく可能性があります。
この作品は、ただ“憧れ”とか“恋愛”という形を描いているわけではなく、「自分を認めてもらいたい」「本気になってもいいと思える自分になりたい」という内面の成長も丁寧に描いていると思います。第6話は、その成長の第一歩だったと感じました。
(あいちゃん)

