期待馬「ロイヤルホープ」と信頼の駆け引き
第4話では、馬主の山王耕造(佐藤浩市)が1億円で落札したロイヤルホープが、育成牧場へ移り訓練を始めるも、警戒心の強さゆえ「誰にも乗れない」「ジョッキーも見つからない」という壁に直面します。
その中で、調教師の広中博(安藤政信)と秘書の栗須栄治(妻夫木聡)が出会ったのは、地方競馬所属の金髪ジョッキー・佐木隆二郎(高杉真宙)。
この時点で「馬を信じられるか」「人を信じられるか」というテーマが色濃く浮かび上がっていて、馬と人、育成と騎乗の両面で緊張感が高まりました。
良かったところ
馬の価値と人の価値の二重構造
ロイヤルホープは価値ある駒として買われたものの、育成牧場では手がつけられずにいる――この構図が、「値段=能力」ではないというリアリティを鮮やかに映し出していました。
馬を扱う過程の苦労と、騎手を見つける現実の壁とが並行して描かれたことで、競馬ドラマとしての厚みが出ていたと思います。
また、栗須が佐木を“中央騎手への挑戦者”として粘り強く口説くシーンには、人を“可能性”で見る姿勢が感じられ、物語の希望を象徴していました。
家族・企業・秘密の混ざり合いがドラマを加速させる
一方、馬の話と並行して、ロイヤルヒューマン社にスキャンダルが浮上し、耕造の“隠し子”の存在もほのめかされる展開へ。
馬・人・企業・家族という複数のレイヤーが同時に動いており、それぞれが重なり合うことでドラマの厚みが一段と増していました。
気になった・もう少しあってほしかった部分
佐木の過去と中央騎手挑戦の道筋の描き込み
佐木が地方から中央へ挑むという展開は緊張感がありましたが、「なぜ彼が問題を起こして地方にいたのか」「中央への道のりが具体的にどう困難か」といった部分が、もう少し詳細に描かれていれば、彼の決断により深く感情移入できたと思います。
企業スキャンダルと馬の世界の繋がりにもうひとひねりを
ロイヤルヒューマン社のスキャンダルという設定は興味深かったですが、馬や牧場の世界と、企業の内実とがどう結びついているかがやや間接的に感じられました。
このドラマの中軸である「人を信じる・価値を創る」というテーマを、会社経営と馬主・牧場という構図でさらに掘り下げて欲しかったです。
感想まとめ
第4話は、タイトル通り「メイクデビュー」、つまり「初戦」「新たな舞台」の始まりを感じさせる回でした。
ロイヤルホープを巡る物語が本格的に動き始め、佐木という人物がその鍵を握ることになった一方で、山王家/ロイヤルヒューマン社という“華やかな裏側”に潜む影も視界に入ってきました。
見ていて印象的だったのは、「血統や資金だけでは勝てない」「馬も人も、信頼と覚悟が必要」というメッセージ。
馬を動かすのは技術だけでなく“人を動かす力”だということが、静かに、しかし確かに伝わってきました。
今後への期待と考察
これから注目したいのは、まず「佐木が中央騎手として認められるのか」「ロイヤルホープが『使える馬』へ変わるのか」、そして「山王耕造の隠し子・耕一がどのように物語に絡んでくるのか」です。
また、企業・馬主・牧場・騎手という“複数の世界”がどのように融合し、勝利とは何かを定義していくのかにも興味が湧いてきます。
次回以降、また違った形で“信じること”が試されることになるでしょう。
第4話は、ドラマが次のフェーズへ踏み出した“ターニングポイント”だったと感じました。
(あいちゃん)

