UNREAL-不条理雑貨店- 第4話 感想文(ネタバレがあります)― 過去の影と「運命」の仮面が交錯する雑貨店

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“オトヤ”という名前が呼ぶ記憶

第4話では、アイドル・赤羽凛糸(黒崎レイナ)が雑貨店「UNREAL」を訪れ、店主・ヤギオ(染谷俊之)を見て「同級生の音矢に似ている」という言葉を口にします。この「音矢」という名前が、宗哉(小西詠斗)に「自分が大切な何かを忘れているのではないか」という疑念を抱かせる瞬間が、物語の鍵になっていました。
雑貨店で提示される“仮面”=「オッドフェローズの仮面」が登場し、ヤギオが凛糸にそれを勧めるシーンでは、「彼女が宗哉の運命を正すことができる存在だ」というヤギオの確信が不気味な響きを持っていました。

良かったこと

仮面という装置が“運命”というテーマを強く演出

「オッドフェローズの仮面」という雑貨が、ただのアクセサリーではなく、運命を変える導体として描かれていた点が非常に印象的でした。凛糸の悩みを聞いた上で、ヤギオがその雑貨を差し出す流れには、「願い・後悔・選択」の三層構造が感じられ、視聴者も引き込まれました。
また、アイドルという“表の顔”を持つ凛糸と「本当の自分/過去の自分」という対比が、仮面とリンクしていて、演出としても美しく機能していました。

キャラクターの隙間に生まれる緊張感

根岸(本島純政)がSNS炎上をきっかけに凛糸とのつながりを断たれ、「フラウロスの牙」を叩き壊してしまう場面は、非常に生々しい怒りと無力さが伝わりました。この“雑貨を破壊する”という行為が、ただの暴発ではなく「運命への抗い/拒絶」という意味合いを帯びていたのが良かったです。
宗哉が黒澤(細貝圭)に「ヤギオを“オトヤ”と呼ぶ人物が来た」と伝える瞬間も、物語の背後に流れる記憶の回路が視界に入り、観る者を「何か起きるかもしれない」という予感に誘います。

気になった・もう少し欲しかった部分

凛糸の内面描写がもう少し深くても良かった

アイドルという立場・過去の同級生という伏線・雑貨店での選択…と凛糸には複数の意味が重なっていたのですが、彼女自身がどう感じているか、もう少し丁寧に描かれていたら、視聴者としての感情移入がさらに深まったように思います。
「音矢=ヤギオ」だろうという設定の示唆は強かったのですが、凛糸がその可能性にどう応答するか、自分の中でどう変化するかがもう少し欲しかったです。

“運命を変える雑貨”という設定の重みと犠牲がもう少し明確に?

仮面や牙など、「雑貨が運命を操る」という世界観は本作の魅力ですが、第4話ではその力の範囲や犠牲の側面が少しぼやけていた印象があります。雑貨を手にすることで何が変わるのか、何を代償にするのか、もう少し“雑貨を使う覚悟”が描かれていたら、物語の緊張がさらに上がったと思います。

感想まとめ

第4話は、「忘れられた記憶」「呼び覚まされる運命」「雑貨を媒介にした選択」という要素が鮮やかに交差した回でした。ヤギオの言葉「彼女が宗哉の運命を正すことができる存在だ」という宣言が、視聴者にとっても衝撃的で、宗哉が抱える“過去”と雑貨店で交わされる“現在”がゆっくりと溶け合っていくように感じられました。
また、根岸の暴発や凛糸の訪店など、「運命」という言葉を体現するような出来事がシーンごとに配置されており、視聴後には深い余韻が残りました。
「雑貨を買う/雑貨に選ばれる」という二重の行為が、決して軽くないことを、このエピソードで強く示していたと思います。

今後への期待と考察

次回以降、注目したいのは「音矢=ヤギオ」説がどれだけ本格的に明らかになるかという点。そして、宗哉が自分の忘れていた“何か”を、雑貨店でどう再発見・再定義していくかが鍵だと思います。
さらに、雑貨を破壊してしまった根岸のその後や、その行為が運命にどう影響するかにも目が離せません。
このドラマは、ただのファンタジーでもホラーでもなく、「人が過去を抱え、選択を迫られ、雑貨という媒介を通じて運命と向き合う」物語だと思います。第4話は、その問いがより深まった、非常に重要な回だったと感じました。
(あいちゃん)

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