不穏な出張帰り、そして雑貨店で待ち受けていた予感
第3話では、宗哉〈ムネチカ〉(小西詠斗)が夏合宿のお土産を抱えて、友人・水門(新正俊)と帰宅するシーンから物語が静かに動き始めます。友人の誘いを受けつつも、宗哉が気にしていたのは、雑貨店 UNREAL 店主・ヤギオ(染谷俊之)から「カフェの出店」を強く反対されたこと。心に引っかかるものを抱えながら訪れた雑貨店で、宗哉は倒れているヤギオを発見し、動揺します。
良かったこと
願いを叶える骨董の怖さと魅力の提示
・大学生・根岸(本島純政)が店で手にした「フラウロスの牙」という万年筆。「書いた願い事を叶えてくれる」という説明に、思わず“試してみたら”というワクワクと、それが引き起こすかもしれない代償の怖さが同居して見えたのが刺さりました。
・雑貨店としての「UNREAL」が、ただのアンティークショップではなく“願いを扱う場所”であるという設定が、第3話でも改めて強調されており、この世界観が好きな人には引き込まれるものがあると思います。
ヤギオと宗哉の関係に漂う“割れ目”
・宗哉がヤギオを心配して駆けつけたときに、目を覚ましたヤギオが冷たくそっけない態度を取る場面。これに宗哉が怒って出ていってしまう。普段世話を焼く側である宗哉が、逆に心配する立場になり、そして相手から突き放されるという構図が新鮮で、二人の関係性に亀裂の匂いを感じました。
・宗哉が抱えている“気になる何か”と、ヤギオが隠している“拒絶の理由”。この二重構造が徐々に顔を出してきた点が、物語への期待を高めていたと思います。
気になった・もう少し掘り下げてほしかった点
雑貨の力の説明がまだ曖昧
・万年筆「フラウロスの牙」が“願い事を叶える”という強烈なアイテムであるにもかかわらず、そのメカニズムやどのような代償があるかという説明がまだ控えめな印象を受けました。視聴者としては「書いた願いがどう叶うのか」「何が返ってくるのか」がもう少し明確だと、恐怖も深まったかなと感じます。
・また、ヤギオが倒れた理由・状況にもまだ謎が残っており、その点が次回以降の展開に委ねられているのは良い構成ではありますが、「なぜ今このタイミングで?」という引きがもう少し強くてもいいかな、と。
宗哉の心情変化にもう少し余白があると良かった
・宗哉が「気になっていた」雑貨店の出店反対を引きずっているという描写はあったものの、なぜそれほどひっかかるのか、どのくらい葛藤しているのかという内面の動きがもう少し細かく描かれていたら、彼がヤギオに向ける“忠誠/疑念”の動揺がより伝わったと思います。
・また、根岸の願い事――「写真がバズる」と書くシーンからの展開も面白かったのですが、その後の反応や変化が“急に動いてしまった”印象があり、もう少し段階を踏んでも良かったかなと感じました。
感想まとめ
第3話は、前回までの雑貨店ミステリーの枠に加えて、店主と助手(あるいはバイト)という関係性に揺らぎをもたらす回だったと思います。
– 「願いを叶える雑貨」という強烈なテーマがまたひとつ提示され、視聴者に“触れてはならないモノ”としての雑貨の恐れを植え付けた。
– 宗哉とヤギオ――これまで助ける/世話を焼くという構図だったのが、“心配する/拒否される”という構図に変化し始めた。
– 新たな客・根岸の登場と“願い事”という軽さを装った重みのある事件の種まきがあった。
この回では、世界観の背後にある“陰”が少し顔を出し、雑貨店という「表の顔」の横に「裏の顔」が確実に存在していると感じさせてくれました。静けさの中の不安、その綻びを目撃したような感覚が残ります。
今後への期待と考察
これから特に注目したいのは、
– ヤギオが倒れた“本当の理由”――身体的なものなのか、雑貨を巡る因縁なのか。
– 宗哉が抱える“気になったこと”=出店反対をされたことの根底にある、ヤギオとの過去の何か。
– 万年筆「フラウロスの牙」がどのように願いを叶え、そしてどのような代償を求めるのか。
– 根岸の願いが「写真がバズる」という比較的軽めのものだっただけに、その後の変化がどれほど“異変”に発展するのか。
このドラマが描こうとしているのは、単純な“怪しい雑貨”の物語ではなく、「人の願い」と「その裏にある闇」、そして「雑貨を媒介とした人と人との関係の歪み」だと思っています。第3話はその構図をより明らかにする転換点であり、次回以降、より深い“何か”に迫っていく予感がしました。
(あいちゃん)
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