良いこと悪いこと 第1話、“タイムカプセルの呪い”がリアルに怖い(感想)(ネタバレがあります)

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初回から空気が重くて、なのに目が離せなかった。
間宮祥太朗さんと新木優子さんの間に漂う緊張感が、静かに刺さる。
笑いもほぼないのに、妙に人間臭くて息苦しい。
小学生時代の記憶と今の現実がぶつかる瞬間、懐かしさよりもゾッとする感情が勝つ。
“キング”と呼ばれた男の再会は、ノスタルジーじゃなく罪の掘り起こしだった。

高木(間宮祥太朗さん)の「キング」だった過去が重くのしかかる

東京郊外で家業を継ぎ、妻の加奈(徳永えりさん)と娘の花音(宮崎莉里沙ちゃん)を支える高木(間宮祥太朗さん)。
穏やかに見える暮らしの奥に、かつての「キング」の影がまだ息づいてる。
22年前に埋めたタイムカプセルなんてもう記憶の底。
でも、それが掘り返された瞬間から空気が変わった。
家族の会話にさえ、どこか取り繕うような気配があって、幸せの形が微妙に歪む。
過去を忘れたい人と、思い出したい人。
その境界線が揺れるのを、静かな画で描くのがうまい。

6年1組の再会、笑顔の裏でそれぞれの人生がずれてた

武田(水川かたまりさん)は貧ちゃんのまま人懐っこい。
ゆき(剛力彩芽さん)は専業主婦になってもどこか不安定。
豊川(稲葉友さん)と桜井(工藤阿須加さん)は、社会に出ても“子ども時代の序列”をどこか引きずってる。
学級委員長だった紗季(藤間爽子さん)は、完璧な笑顔で空気を整えるけど、目の奥が揺れてた。
そして園子(新木優子さん)。
同窓会の中心にいるようで、実は外側から全員を見てる。
大人になっても抜けない関係の上下を、カメラがあえて残酷に切り取ってくるのがゾクッとした。

タイムカプセルの中身、“夢”の絵が一気に不穏になる

22年前の「みんなの夢」。
桜井の“消防士”、武田の“空を飛ぶ”、どれも子どもの理想そのもの。
なのに、タイムカプセルの奥にあった卒業アルバムだけが異物だった。
6人の顔が黒く塗りつぶされていて、まるで呪いのページ。
高木(間宮祥太朗さん)の目が一瞬だけ鋭くなる瞬間、彼の中で封じてた何かが動いた感じがした。
“あのときのこと”を思い出した顔。
それだけで、次に起こることが予感として立ち上がってくる。
懐かしさを利用した不気味さの演出が見事。

武田(水川かたまりさん)の転落と、連鎖する恐怖

夜の街で突然襲われる武田(水川かたまりさん)。
落下の瞬間まで描かず、影と音だけで見せるのが逆に怖い。
彼が描いた“空を飛ぶ”夢をなぞるような死に方が、寒気を連れてくる。
事件を知った高木(間宮祥太朗さん)の動揺がリアルで、呼吸が浅くなる。
友を失った悲しみよりも、“これから自分の番かもしれない”という不安が先に来る。
この瞬間から、“夢”が呪いの伏線に変わるのが鮮やかだった。

園子(新木優子さん)との再会、復讐か共犯かの境界線

記者として成功している園子(新木優子さん)が、かつてのいじめの被害者だった。
その事実を思い出した高木(間宮祥太朗さん)が彼女を呼び出す。
ふたりの会話は、謝罪でも和解でもなく、もっと複雑な取引みたいな温度。
桜井(工藤阿須加さん)の店が火事になり、また“夢”に沿った事件が起こる。
園子の目に宿る冷静さと怒りの共存が怖いほど綺麗。
「手を組みましょう」という一言の中に、罠の匂いと救いの予感が同時にある。
敵か味方か。
その曖昧さが、物語をさらに深くしていた。

SNS考察が止まらない理由、“誰でも怪しく見える”仕掛け

放送直後、SNSは完全に犯人探しモード。
「委員長が怪しい」「先生が黒幕」「消防士の自作自演」なんて声が並ぶ。
でも、このドラマの怖さは“誰が犯人でもおかしくない”空気。
みんなが何かを隠していて、笑顔の裏に影がある。
視聴者の予想が全部正解にも見えて、全部ハズレにも見える作り。
人間関係そのものがミステリーになってる感じが最高に不気味。
第1話でここまで人の心をかき乱すの、ちょっと反則級。

まとめ

「良いこと悪いこと」第1話は、タイトル通り“善と悪”の境界線がぼやける始まりだった。
間宮祥太朗さんの抑えた演技と、新木優子さんの無表情の奥の熱。
過去の罪と現在の後悔が、静かに絡まっていくのが美しかった。
ラストの炎と涙の対比も完璧。
ただの復讐劇じゃなく、人が“良いこと”と思ってやったことの結果が“悪いこと”になる、その歪さが沁みた。
次の一歩が、もう怖い。
(みかんてぃ)