絶対零度~情報犯罪緊急捜査~ 第5話 感想文(ネタバレがあります)― “情報”と“拉致”が交錯する、刑事の覚悟と国家の闇

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絶対零度~情報犯罪緊急捜査~ 第5話 感想文(ネタバレがあります)― “情報”と“拉致”が交錯する、刑事の覚悟と国家の闇

崩れた日常と巻き込まれた信念

第5話を観てまず衝撃を受けたのは、絶対零度~情報犯罪緊急捜査~(Season 5)において、捜査チームの中核を担う刑事・二宮奈美(沢口靖子)が、突如として“標的”となってしまった状況です。
都内の一斉停電という重大な事態の中で、奈美が監禁されてしまい、捜査の裏側に国家レベルの“見えない敵”がいることが露わになりました。
また11年前の出会い――桐谷杏子(板谷由夏)との、街頭演説中の刃物男襲撃事件を奈美が止めたという回想が、今回の事件の根底にちらついており、単なるサイバー犯罪+監禁では終わらない深みが出ていました。

良かったこと

情報犯罪×テロ的な構図が鮮やかに描かれた

停電という物理的な混乱、そしてSNSを使った犯行声明という“情報”の暴力が複合的に提示されました。
特に、「日没までに救出できなければ命の保証はない」という宣言がSNSで拡散された瞬間、視聴者として「これはもう刑事ドラマではなく現代型サスペンスだ」と感じたほどです。
捜査=銃撃戦という古典的な展開ではなく、「データ×映像×心理戦」という構図がしっかり機能していた点が素晴らしかったです。

主人公・奈美の“観察力”と“不屈の精神”が映える

拉致された奈美が、ただ救助を待つ被害者としてではなく、自ら観察し、問いかけ、相手の心理を揺さぶる――そうした能動的な姿が際立っていました。
地下室で「ずっと見ていた」と囁く男の前で、飴を差し出されても動じず、むしろ相手の過去や殺意の背景を探っていく構えは、刑事ドラマにおける“主人公像”の刷新と言えるかもしれません。

気になった・もう少し欲しかった部分

動機・裏組織の説明が少し曖昧に感じた

拉致事件の背後に「組織」があることや「情報戦」が展開される匂いは強く出ていましたが、その“組織”の輪郭や動機がまだぼんやりしていて、視聴者として少し焦れったく感じました。
たとえば「11年前に奈美が言った言葉」がなぜ今こうして標的になったのか、もう少し論理的なリンクがあると、さらに深みに入れたと思います。

テンポの速さが逆に焦りを生んでいた

一斉停電、拉致、SNS声明、地下監禁、追跡…と展開が目まぐるしく、ハラハラさせられたのは良いのですが、その反面「もう少し場面の余韻が欲しい」と感じる瞬間もありました。
物語がどんどん先へ進むあまり、感情の整理やキャラクターの内面描写が少し後回しになっていた印象があります。

感想まとめ

第5話は、これまで以上に“時代”を反映した作品になっていたと感じます。
停電という物理的リスク、SNSという拡散手段、そして“情報”そのものが武器となる現代社会。
その中で、奈美という刑事が信念を持って戦う姿は非常に鮮烈でした。
“観察者”としての刑事、“情報を守る者”としての捜査チーム、そして“見えない敵”としての犯罪集団――この三者が交錯する構図が強く印象に残ります。
一方で、ドラマとしての安心感や“事件解決”の納得感がまだ完全ではないため、次回以降の展開に期待がかかります。

今後への期待と考察

次に注目したいのは、あの11年前の出会いがなぜ今ここまで波紋を呼んでいるのか、そして奈美を拉致した男の“観察”の真意です。
また、停電という大規模攻撃の背後にいる“組織”の正体と目的が、明らかになるか否かが鍵でしょう。
視聴者としては、「情報を掌握する者が勝つ」という構図が描かれつつある今、奈美とチームがどう逆手に取るのかにも注目です。
このドラマは、単なる“人を追う”捜査劇ではなく、「どう生きるか」「どう守るか」という普遍的なテーマを、デジタル社会の中で問いかけているように思えます。
第5話は、その問いがより明確になった、非常に重要な回だったと感じました。
(あいちゃん)

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