狙われた“信仰”と隠蔽された真実
第6話を観てまず感じたのは、“信じること”が逆転し、“騙すこと”への舞台に変わった恐ろしさです。 “宗教法人ルミナス会”を巡る事件では、教祖・黒澤道文が「大災厄が日本を襲う」と煽り、信者に“神札”を高額で売りつけていました。
捜査機関 情報犯罪特命対策室(DICT)はその収益が国際犯罪組織へ流れているとにらみ、オンライン潜入捜査を敢行。白骨遺体と教団のアイテムが結びついた時点で、“宗教”の影に潜む組織犯罪の輪郭が浮かび上がりました。
後半、明かされたのは「教祖本人が既に死んでいて、息子がなりすましていた」というどんでん返し。情報社会で“偽動画”“利き手の矛盾”という細部にこそ真実が隠されていたという展開が、まさにこのドラマらしい仕掛けでした。
良かったこと
小さな“矛盾”から真実を暴く捜査力
奈美(沢口靖子)が動画の中の教祖の利き手が右→左に変わっているという僅かな違和感に気づき、この“偽装”を突き止めた場面は見応えがありました。
こうした“細部を見る目”が捜査ドラマの醍醐味であり、単なる追跡劇ではなく知的な揺さぶりがあった点が非常に良かったと思います。
教団という“閉じた世界”を切り崩す構図
オンラインサロン、オフ会、信者間の内紛、白骨遺体の遺留品…と、宗教団体の内部構造が巧みに暴かれていきました。
“信じさせる”“高額を払わせる”“逃げ場を奪う”という教団の術中と、外部から“情報捜査”という武器で殴り込むDICTの対比が緊張感として成立していて、エンターテインメントとして引き込まれました。
気になった・もう少し欲しかった部分
白骨遺体の因果がもう少し深く描かれていたら
白骨遺体の発見が教団関与の重要な手がかりとして提示されましたが、「なぜその遺体がそこにあったのか」「その人物が教団にどう関わっていたのか」という背景が少しだけ駆け足だった印象があります。もう一歩、人物の人生や経緯に寄った描写があれば、より感情移入できたと思います。
教団の資金流用の全貌が見えづらい
教団の収益が“国際犯罪組織”へ流れているという設定はインパクト大でしたが、「具体的にどのように送金され、どこへ流れたか」という部分がまだ曖昧で、“黒幕の輪郭”が少し遠い感じがありました。第6話で一大転換はありましたが、全体として“資金の根本”まで描き切れるとより完成度が高まりそうです。
感想まとめ
第6話は、信仰という言葉の裏にある“欺き”と、“情報”の武器化が鮮明に浮かび上がった回でした。
教祖の動画、内部告発者の裏アカ、オンライン潜入、白骨遺体…という複数の要素が交錯し、そして“利き手の矛盾”という小さな手がかりが真相を暴く。まさに“情報犯罪”をテーマにしたこのシリーズならではの手口と構成だと感じました。
奈美をはじめDICTメンバーの「信じるものを守り、疑うものを見分ける」姿勢が際立ち、視聴者としても “誰を信じるか”“何が真実か” を問いかけられました。
ただ、事件の背景となる資金の流れや組織の全貌がまだ明らかではないため、次話以降への期待が高まります。これだけの反転がありながら、「黒幕はさらにその背後にいるのでは…?」という気配が漂っているのも、先へ観たくなる要素です。
今後への期待と考察
次に注視したいのは、黒澤親子を操っていた“指南役”の存在です。息子・聡(市川知宏)の告白だけで終わるのか、それとも彼の背後に別の大きな組織・人物がいるのか。
また、資金の流れが国際犯罪組織まで及んでいるという設定がある以上、教団が“表”か“手段”だった可能性もあり、国家レベルの陰謀とリンクするのではという疑念も湧きます。
そして、奈美やDICTメンバーの“信念”と、“国家・権力側”(例えば副長官・佐生新次郎)とのギャップも、物語の中核になりそうです。
このドラマは、単に“犯人を捕まえる”だけの刑事ものではなく、「情報」「信仰」「国家」「個人の選択」というテーマを抱えています。第6話は、そのテーマがより深く提示された、この秋のドラマの中でも尖った回だったと感じます。
(あいちゃん)
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