窮地からの選択と“ママ”をめぐる問い
第4話を観て特に印象深かったのは、偽りの“ママ役”を演じていた 薀蓮〈花村薫〉(波瑠)が、ついに担任教師・智也(中村蒼)にその正体を問い詰められ、告白する場面です。表面上は「偽ママ=不正」という構図に見えたのが、薫の言葉によって「私は選んでここにいる」という意思の表明に変わった瞬間、物語が別の次元に移ったなと感じました。
良かったこと
偽装を超えて“選んだ嘘”として描かれた葛藤
薫が「私は自分の意思で“ニセママ”を演じています」と屋上で告白するシーンは、ただの偽りの物語を、人間の選択へと昇華させていました。誰かを騙してきたのではなく、誰かを守るため、支えるために立っているという意志が感じられ、物語として非常に深みを持っていました。
学校行事という“システム”を舞台にした人間関係の揺れ
〈ファミリーデー〉という大規模な学校保護者イベントを通して、ママたちの権力闘争、階層意識、見られ方のプレッシャーが描かれます。薫と保護者会会長・玲香(野呂佳代)の激しい議論、茉海恵(川栄李奈)が「フレッシュジュース店でいきましょう」と提案するアイデアの切り替えなど、ドラマの舞台が日常だからこそリアルでした。
気になった・もう少し欲しかった部分
展開のスピード感と整理されていない伏線
突然の告白、父親の正体、異母兄弟の可能性、複数の線が一気に明らかになるため、少し情報量が多すぎて追いきれない部分もありました。もう少し「なぜ今このタイミングでバレるのか」「なぜこの父親がこの立場にいるのか」という、背景の整理があれば視聴者としてもっと腑に落ちやすかったと思います。
キャラクターの動機・心理にもう一層の掘り下げを
例えば保護者たちのママ友関係、模擬店の出店案の裏にある“見栄”や“格付け”の心理などは描写されていますが、やや記号的に感じられる箇所もありました。登場人物一人ひとりが持つ“立場”や“過去”にもう少しフォーカスがあれば、物語の重みがさらに増したことでしょう。
感想まとめ
第4話では、偽ママという“役割”がただのトラブルではなく、選択と覚悟の物語へと変わっていく瞬間が描かれていました。薫の「私が選んだ」言葉には、逃げではなく立ち向かう意志が込められており、これまでの“演じてきた”彼女ではなく、“自分として立つ”彼女が見えたと思います。
さらに、学校・家庭・会社という三つの領域が交差し始め、「ママという役割は誰のものか」「家族とは何か」という問いが強調された回でもありました。特に、いろはと圭吾が“同級生なのに異母兄弟”という衝撃の展開は、単なるドラマのどんでん返しを越えて、倫理的・社会的な問題提起のように感じられました。
今後への期待と考察
次回以降、私が注目しているのは以下の点です:
– いろはの父親・本橋慎吾(笠松将)の立場と、彼が抱える過去と今の関係。なぜ彼が“隠された父”として存在するのか。
– 薫と茉海恵の関係性がどう変化するか。二人が互いの立場を理解し、協力へ向かうのか、それとも衝突を深めるのか。
– 学校・ママ友・模擬店という一見軽い舞台裏で進む“権力構造”と“見られる恐怖”。この構造が物語の中でどう暴かれていくのか。
このドラマは、“ママ役”“母親”“家族”という言葉の裏側にある“選択”“犠牲”“見られる視線”を問う作品だと感じます。第4話はその核心に切り込んだ、非常に重要な回だったと思います。
(あいちゃん)

